回避依存症とは?バンプの名曲「K」の黒猫はなぜ孤独を選んでいたのか?
回避依存症とは、他者と近い関係になることを、半ば無意識に避けてしまうという症状です(意識的な場合もあるでしょうが、その場合は改善のための道筋が見えている人だと思います)。文字通り深い人間関係を「回避」することに依存してしまっている状態です。回避性パーソナリティー障害とも呼ばれます。
回避依存症の原因は?
BUMP OF CHICKENの「K」という曲に、このような歌詞があります。不吉な黒猫として孤独に生きてきた黒猫が、絵描きに抱き上げられます。そんな絵描きに対して、黒猫はこう反応しました。
腕の中もがいて 必死で引っ掻いて 孤独という名の逃げ道を
走った 走った 生まれて初めての
優しさが 温もりが まだ信じられなくて
ぼくはこの歌は大好きでカラオケでも歌いやすいのでよく歌うのですが、勉強をしていくうちに「ああ、この猫は回避依存症だったのか」なんていう情緒のかけらもない結びつきが思いがけず出来てしまいました。(笑)
この黒猫は過去に人間に拒絶されたために人間が嫌いになって、絵描きのことも拒絶してしまった。
というのが普通の考えだと思いますが、こう考えてしまうと、ぼくら人間の回避依存症には当てはまらないような気がしませんか?
「俺さ、人間が嫌いで、人間ってだけでなんとなく距離を取りたくなるんだ・・・」って人はいないと思います。(笑)
ぼくは、奥底にある「自尊心を傷つけられたトラウマ」が回避依存症の原因だと考えています。
黒猫の例で考えると、自分の黒い体を嫌われて、存在自体を否定をされてしまっています。ぼく達でも見た目で馬鹿にされる人がいるように、存在否定はありのままの自分でいい、という自尊心を大きく傷つける経験です。
これは黒猫にとって大きなトラウマだったと思います。
「本当は愛されたい、だけどあのトラウマの痛みを味わうくらいなら一人でいたほうが気楽でいい・・・」これが本当の回避依存症の原因だと思います。
通りがかりの人に嫌味を言われるより、親しくなった人に嫌われるほうがダメージが大きいですよね。
また大きなトラウマを経験をするリスクを避けたい、トラウマから逃げるために無意識に脳が孤独という逃げ道を作ってしまう、これが無意識で人を避けてしまう理由だと思います。
また、脳はトラウマを軽く考えたり忘れたりする機能もあるため、自分が人を避けてしまう原因がよくわからないことも、回避依存症の苦しさです。
つまり親密になるのを避けてしまうというのは、一種の防衛本能で、そのため不安や逃げたいという気持ちが無意識に起こってしまうんです。
アダルトチルドレンの傾向がある人は回避依存症になりやすい?
アダルトチルドレンについて過去のぼくの記事を見ていただけるとわかると思いますが、アダルトチルドレンは「優秀なら愛される」「迷惑をかけなければ愛される」という条件付きの愛を与えられて育った人です。
そのため「ありのままの自分でいては、愛されない」という考えを持ってしまっているアダルトチルドレンの人は、本来の自分に失望されたくない、という恐怖から無意識に他人を遠ざけてしまっている可能性は十分にあります。
回避依存症の主な症状は?
親密な関係を避ける方法にも、いろいろな方法があります。代表的なものに以下の4タイプがあります。
1.支配者タイプ
これは暴力や態度、相手を貶める言動で自分のほうが上、という上下関係を作ってしまうタイプです。
自尊心が関係していると考えれば、このタイプは「自分より下の相手ならば自分が傷つけられる心配はない」と考えてしまっているとわかります。
親が子供に「ママ(パパ)なんか大嫌い!」と言われても親はどうしても子供より上の立場にいるので、ダメージは少ないでしょう。逆に子供が親にそういうことを言われるのは、深刻なダメージになります。
周りの人に迷惑をかけるのはあってはいけないことですが、上下関係を作ることは自尊心を守る有効な手段であることは確かです。
2.搾取者タイプ
このタイプは相手から奪うばかりで相手に何も与えない、相手を利用して自分を高めるタイプです。
なんて言ってますが、正直このタイプの心理がいまいち理解できてません(笑)
おそらくは支配者タイプの亜種なんだとぼくは考えています。相手に罪悪感を与える方法が支配ではなく利用であるだけなのかな、と。
「ぼく(わたし)のことを思ってくれるなら~」という言い回しも、自分の愛されたいという願望を満たしつつ相手の立場を下げる有効な手段ではないですか?
3.ナルシストタイプ
このタイプは自分を称賛したり、無条件で愛することを相手に求めてしまったり、相手に自分の理想の相手になってもらおうとしてしまうタイプです。
ナルシストというと一般には自己愛が過剰な人、という見方をされていますが、ぼくは全く逆の幼い頃に愛されなかった人だと考えています。
自分に自信がないゆえに、過ぎた自己アピールをしてしまったり、恋人が理想的というアクセサリーで自分を高めようとしているのかもしれません。
このタイプの人は愛されたいという欲求が前に出ているのかもしれませんね。
4.脱走者タイプ
このタイプは、相手から好意を寄せられたり、いざ付き合い始めると逃げ出したくなる気持ちにかられる人です。
4つのタイプのなかで、一番傷つけられたくない、という気持ちの強いタイプだと思います。
「K」の黒猫もこのタイプですね(笑)
逃げる、という行動は一見周りを傷つけない行為だと思うかもしれませんが、突然距離を置かれるほうも多かれ少なかれ傷つきますので、自覚症状がある人は改善の必要があります。
回避依存症の改善方法は?
これは自分の自尊心を回復させる、これしかないと思います。
ただ、単に自分を好きになる、ではナルシストタイプのような状態になってしまう可能性があるので、ありのままの自分を認める訓練をしてみましょう。
読んでいただき、ありがとうございました。